【ビジネス人事】CSRとは一体何なのか?(CSRとコンプライアンスとサステナビリティとの違いとは)

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どうもanjinです!

今日は人事テーマの『CSR』について説明します。前回取り上げた『コンプライアンス』でも少しCSRについて触れましたが、今日はもう少し深掘りして説明します。

 

【CSRとは?】

 

 

「CSR」とはビジネス用語の一つで、わかりやすく言えば「企業が果たすべき社会的責任」のことです。

企業は株主をはじめ、企業に勤める従業員、顧客、取引先、企業のある地域の人々などと深い関わりを持って運営をしていかなければなりません。こういった「利害関係」のある相手への利益や安全を守りながら「社会的責任」を果たす必要があるということです。

このように、経営者は企業として「法令の徹底順守」「人権の尊重」「環境問題への配慮」「企業価値の創造」「社会的ニーズの追求」「市場との結びつき」などが求められることになりますが、一連の企業活動や社会への働きかけを通して「企業が果たすべき責任」を「CSR」と呼んでいます。

 

【CSRの言葉の意味】

 

 

英語ではCorporation Social Responsibility(企業の社会的責任)を意味し、略してCSRとなっています。

「corporate social responsibility」という言葉の意味は、下記になります。

corporateの意味

「corporate」(コーポレート)は、「団体の」「組織の」といった意味を持つ言葉です。この場合、「法人の」という意味合いがあります。

socialの意味

「social」(ソーシャル)は「社交的な」「社会的な」「社会の」といった意味合いを持つ形容詞です。

responsibilityの意味

「responsibility(レスポンシビリティー)」は、「責任」「負担」「責務」といった意味を持ちます。

 

 

【CSRが広まった背景】

 

 

米国やヨーロッパでは、古くから企業存続には持続的な社会発展が欠かせないという考え方があります。つまり、社会があるからこそ企業が存続でき、企業はその社会を持続・発展させるための責任を担っているという理念です。そしてCSRとは、企業が組織活動を行うにあたり担っている社会的責任を意味します。従業員、消費者、投資者、環境などへの配慮から社会貢献まで、幅広い内容を考慮しながら適切な意思決定を下さなければいけません。

日本国内でCSRが注目されるようになったきっかけは、食品の成分や消費期限の偽装表示などの不祥事が相次ぎ発覚したことです。それを機に企業に対する社会からの見え方が一気に変化し、多くの不祥事が明るみになりました。同時に叫ばれたのが、企業が果たすべき社会的責任についてです。

企業は営利組織である以上、利益を追求する使命があります。しかしその一方で、利益のみならず消費者の健康や環境維持への配慮なども含めた社会的な責任を果たすべきであるという考え方が増えました。さらに、インターネットの普及によって情報流通量が爆発的に増加したことで、企業に関するネガティブなイメージはあっという間に拡散されます。

そうした状況下において、社会的信用を維持・向上するためにCSRが重要視され、今では中小企業や大企業を問わず多くの企業がCSR活動に取り組んでいます。

 

 

【CSRへの取組みが重要な理由】

 

 

健全な企業活動tを維持するためには「CSR」の取り組みは不可欠です。続いて「CSR」の重要性について解説しましょう。

「CSR」はグローバル社会に対応するために重要

ヨーロッパやアメリカでは「CSR」への取り組みが企業活動の中心となっている程、強力な意味を持つ項目でもあります。日本でもグローバル社会を迎え、多国籍や多文化における「ダイバーシティ」への敏速な対応を求められるようになりました。

海外進出を目指す企業では「グローバル社会で戦える社員教育の実施」「グローバル人事」「組織力の強化」なども「CSR」として見逃すことはできないでしょう。グローバル社会に対応するための従業員への配慮や組織の見直しは必須だと言えます。

「CSR」は企業における不祥事を回避するために重要

産地偽装問題や改ざんデータの横行、粉飾決済やハラスメントの頻発など、企業における不祥事は後をたちません。現代社会では人々の意識や理解が成熟し、企業に求める期待や希望が高まっているため、企業倫理を問われるトラブルは企業にとって致命的な傷となる可能性があります。

労働環境が複雑化し市場で競合が増える中、企業全体の平衡感覚は失われることがあるかもしれませんが、経営者が法令を強く意識し「コンプライアンスの徹底順守」をすれば、健全な企業体制にブレが生じる可能性も低くなると考えられます。

 

 

【CSRのメリットとデメリット】

 

 

《CSRのメリット》

CSRに取り組むことで得られるメリットは、主に下記3点あります。

企業イメージ向上

CSRに取り組んでいることを内外にアピールすることで、イメージの向上に役立つとされています。東京商工会議所が行ったアンケートによると、79.7%の中小企業、98.3%の大企業がCSRに取り組む目的として企業イメージの向上と答えているのです。

企業のイメージの向上は、商品やサービス自体のアピールのほか、安心や安全といったイメージにもつながります。結果、企業としての信頼やブランドが向上し、それが商品購入につながり、利益向上にもつながると考えられるのです。

販売先・納入先との関係強化

CSRを継続して行っている企業は企業イメージが良くなるばかりではなく、その結果として顧客からの信頼が厚くなり、株主・投資家からも支持されるといわれています。

同じく東京商工会議所のアンケートによると、56.7%の中小企業、44.1%の大企業がCSRに取り組む目的として「販売先・納入先との関係強化」と答えています。

CSRに取り組むことで、これらステークホルダーとの関係を密にし、企業活動の円滑化や利益につなげることができるでしょう。

従業員満足度の向上

企業のステークホルダーは顧客や投資家だけではなく、従業員もその一部です。東京商工会議所のアンケートでは、52.9%の中小企業、72.9%の大企業がCSRに取り組むことで「従業員満足度の向上」を目指していると回答しています。

従業員は、自分の仕事が社会貢献につながっていると自覚し自信を持って働くことで、モチベーションが高まり生産性が上がります。

また、そのような従業員が多数在籍することで会社そのものも正常化。そこから明るい職場、社会貢献といったアピール要素ができ、学生などの求職者に好印象を与え、優秀な人材の採用につながります。

CSRのメリットとして挙げられるのは、「企業イメージの向上」「関係先とのつながりの強化」「従業員満足度の向上」などです。

《CSRのデメリット》

CSRによるデメリットは、主に下記2点あります。

コストの増加

CSRを行う上で考えられる最大のデメリットは、コストがかかるという点。東京商工会議所のアンケートによると、中小企業は73.8%、大企業は81.1%がコストの増加を感じていると答えました。

CSRを長期的な目で見ると間接的に企業の利益に貢献しますが、本業とはつながらない事業に対して投資することになるため、直接的かつ短期的には利益につながりません。創立間もない企業、経営が苦しい企業はなかなか踏み切れないでしょう。

人手不足

人手不足が社会問題となる中、CSRに取り組む人手がない、CSRに取り組むことによって人員を割かなければいけないという点を、デメリットと取る企業も多いとされています。

東京商工会議所のアンケートでは、51.8%の中小企業と48.6%の大企業が、人手が不足しているためCSRに取り組みたくとも思うように進まないと回答しています。

前述の通り、CSRは長期的な目で見れば優秀な人材の採用にもつながりますが、経営難の企業や人手の足りない中小企業では、CSRへの取り組みによって起きる障害を懸念する声が目立つようです。

人手不足や短期的なコストがかかることから、CSRに取り組みたくても思うように進まないという企業も目立ちます。

 

【CSRとコンプライアンスの違い】

 

 

CSRと似たものとして、コンプライアンスがあります。双方ともに企業の責任や姿勢を問うものですが、その中心にあるものに違いがあります。

『コンプライアンス』は法令遵守を意味し、中心にあるものは、国が定めた法律や地域の条例、社会的規範を守ることです。法令を守らないようなことが起きた場合、顧客の信頼を失い、従業員のモチベーションが低下し、事業が継続できないほどのダメージを受ける可能性もあります。コンプライアンスは、企業がルールを守り、健全に事業を継続することを目的としています。

一方、『CSR』で重視されるのは、ステークホルダーと企業の関係です。企業を取り巻く社会環境は日々変化し、経済のグローバル化やインターネットの普及に伴って近年ではさらに複雑化しています。たとえば、地球温暖化や少子高齢化、子育て世代の働き方などの社会課題に取り組んでいる企業も多いのではないでしょうか。こうした社会の課題は、法令を守ることで一律に解決できるものではなく、また答えもひとつではありません。各企業が自社にあった形で自発的に行う活動である点もコンプライアンスとの違いです。

 

【CSRとサステナビリティの違い】

 

 

CSRと混同されがちな考え方の1つにサステナビリティ(Sustainability)があります。これは、環境や経済、社会のバランスを考慮しながら世の中全体を持続可能な状態にするとう考え方です。サステナビリティは「持続可能な」という意味の言葉で、CSRよりも昔から提唱されてきました。

サステナビリティと深いかかわりを持っているのが、2015年9月の国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)です。聞いたことはあるという方が多いでしょう。SDGsは2016年から2030年までの国際目標であり、以下のような17の開発目標が掲げられています。

  1. あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
  2. 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
  3. あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
  4. すべての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
  5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う
  6. すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
  7. すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
  8. 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
  9. 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
  10. 各国内及び各国間の不平等を是正する
  11. 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
  12. 持続可能な生産消費形態を確保する
  13. 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
  14. 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
  15. 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
  16. 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
  17. 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

【まとめ】

 

 

本来の業務を行っている中ではなかなか手が届かない問題も存在します。それを「CSR活動」の一環として解決策を講じることも可能です。

社員一人一人の力だけではどうにもならないことも、企業単位で行えばどうにかすることができる場合もあります。社会のためであり、誰か個人のためにもなるのがCSR活動であると同時に、個人単位でできないことを企業単位でカバーするのもCSRなのです。

私達の暮らしをよりよくしてくれる企業は何より信頼されます。仮にその企業に何か起こった際、支えようとする人や企業はたくさんあるでしょう。

社会は相互扶助で成り立っています。CSRは人と人、企業と企業、あらゆる存在を結びつける「絆」のようなものなのです。

 

【参考書籍】

 


SDGs経営の時代に求められるCSRとは何か

 

 


マンガでやさしくわかるCSR

 

 

以上が本日のテーマになります。ご覧頂き、ありがとうごさいました!

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