【ビジネス】組織の人事異動について(企業は人なり)

人事/労務/総務

どうもanjinです!

今日は人事分野における『人事異動』について書きたいと思います。人事異動というのは、かなりセンシィティブな内容ですが、組織においてはプラスの面もあればマイナスの面もあると思います。

【人事異動とは】

人事異動』とは、会社組織において従業員の配置や職務などを変えることです。事業戦略や従業員の能力・資質などを考慮した人員配置のために行なわれます。

但し、人事異動といっても、勤務場所が変わったり勤務場所は同じでも業務内容が大きく変わったり、下記のように様々な種類があります。

【転勤】

同じ会社内で異なる勤務地に配置展開すること。一般的には県外など転居を伴う場合を言いますが、同一市内、同一県内など転居の必要がない場合も指します。

 【出向】

同じ会社に在籍のままで、子会社や関連会社で勤務させること。対象となる従業員の雇用元は出向元企業で、業務の指示命令は出向先の会社が行います。

 【転籍】

在籍している会社での雇用契約を解除し、転籍先の会社と雇用契約を締結して勤務させること。雇用も業務の指示命令もすべて転籍先の会社が行います。

 【部署異動】

所属する部署が変更になること。例えば総務課から人事課のように関連性の高い業務を行うセクションへの異動もあれば、情報システム部から営業部のように異分野の業務を行うことになる場合もあります。

 【昇進】

一般社員から主任、係長から課長というように、会社内での地位が上がること。

 【降格】

部長から課長、係長から主任というように、会社内での地位が下がること。

 

【人事異動の目的】

人事異動は、会社の財産である人材を適材適所に配置することで、職場の活性化や組織の発展を促したいという目的のために実施されます。主な目的は下記5つになります。

社員の人材育成

人事異動をした社員は、新しい環境に身を置き他の業務に携わることになります。その結果、新しい見解や技術が身について仕事の幅が広がり、成長することが期待できるのです。

また、優秀な社員を教育係として配属させたり、業績を上げたい他部署に異動させたりなど、周囲の底上げを図るといった手法も効果的です。

このような目的での人事異動は、新入社員の育成やベテラン社員の昇進・昇格などを理由に実施するケースが多いです。人事異動を上手く活用することで、社員に成長のきっかけを与えられるでしょう。

適材適所の人員配置

「業績がパッとしない社員が配属先の変更後に大活躍するようになった」

このような話は珍しくありません。部署が変わることで、社員が本来の実力を発揮できるようになる可能性は十分にあります。

適正のない部署で働き続けるよりも、適正のある部署で活躍してもらうほうが社員は幸せです。また、企業側も今まで気づけなかった優秀な人材を発掘できる可能性があるので、一石二鳥だといえるでしょう。

現在配置されている部署で活躍が難しい社員がいる場合には、本人と相談の上で、別の部署への配属を検討してみてもよいかもしれません。

慣れによる意欲低下の防止

長い期間ずっと同じ職場で同じ業務をこなしていると、仕事のマンネリ化によって社員の業務意欲が低下してしまう場合があります。慣れによる社員の労働意欲低下が業績悪化の原因になる可能性も否定できないです。

上記のような事態を回避する目的で、一定期間ごとに職場や部署の入れ替えを実施する企業も存在します。

定期的に新しい業務環境を提供し続けることで、いろいろな仕事に挑戦できるという期待から社員のパフォーマンスが高まり、結果として会社の活性化につながるケースもあるのです。

企業戦略のための配置変更

新事業の立ち上げや経営方針の転換など、新しい企業戦略を成功させるためには、その遂行に適した人材を選抜する必要があります。

そのため、人事異動は事業目標を効果的に達成する手段として優れた施策だといえるでしょう。

『どの時期に、どんな人材が、どのくらい必要になるのか』。これを適切に判断して計画的に人事異動を実行することが、企業戦略を成功させる重要要素です。

不正の防止と発見

同じ社員がずっと同じ業務を担当している状態が続くと、外部からの干渉がなくなりやすく、その結果として不正の温床になる可能性があります。

特に長期間ずっと同じ業務をしている社員がいて、上司でも口出しできないような状況だと、不正のリスクが高くなってしまいます。

そのような事態を回避・発見する目的で、同じ職場での勤務期間に上限を定めている企業も珍しくありません。

 

 

【人事異動の流れ】

人事異動の流れは、一般的には下記のようになります。

雇用契約書や就業規則の確認

前段階として、雇用契約書ないし就業規則などに、「配転命令権」(使用者が労働者の勤務地や職務内容を決定する権限)など人事異動についての規則が設けられているかを確認する必要があります。

たとえば、限定正社員の場合は職種や勤務地が限定されているため、人事異動ができないケースがあります。

異動候補者の検討

部門責任者からの配置希望と、従業員側の異動希望を収集・照合して、異動候補者を決めます。その後、候補者の現配属先・異動先の各責任者から了承を得ます。

異動候補者への内示と説明

異動候補者に、直属の上司などから、人事異動を予定している旨と詳細(異動の目的や異動後の部署など)を伝え、候補者の意向を確認します。候補者への丁寧な説明が必要となります。

また、この段階で異動を決定事項とすると、会社が強制したとしてトラブルになるケースもあります。そのため、あくまで異動は「予定」とし、従業員の意向を確認することが大切です。

異動者への辞令の交付

候補者から同意を得たら、辞令を文書で交付します。辞令には、異動の日付・異動後の部署と勤務地・職務などを記載します。その後、部会やイントラネット等で、社内通知を行います。


【人事異動のメリット デメリット】

人事異動のメリット、デメリットは下記のような事が考えられます。

《メリット》

  • 業務知識、経験値の幅が広がる
  • 現状の人間関係が悪化を改善できる
  • 評価の不公平感を緩和できる
  • 多部署間の相互理解ができる

《デメリット》

  • 新しい業務、知識を習得する必要がある
  • 周りが迷惑を被り、業務に支障が出るかもしれない
  • 担当者変更により、競争力が低下する事も考えられる
  • 仕事のモチベーションが下がり、精神面に影響を及ぼす可能性がある

【まとめ】

企業は人なり」と言葉もある通り、その大切な人材への対応である『人事異動』は、企業の命運を左右するといっても良いぐらい大切な取り組みとなります。

人事異動の際は、労使間で丁寧なコミュニケーションをとることでトラブルを未然に防ぎ、異動を社員や組織全体の成長を促す大きなきっかけにすることが大切です。

 

【参考書籍】

 


人事異動(新潮新書)

 

以上が今日のテーマになります。ご覧頂き、ありがとうごさいました!

 

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