どうもanjinです!
今回は前回の社内研修を発展させて、具体的にどのように構築していくかについて書きます。そして、研修をどのような流れで進めていくのがベストなのかも記載していきます。
【社内研修の手法】
まず、社員研修を行う際の手法について見てみましょう。社員研修の手法として用いられやすいのは、「OJT (On-the-Job Training)」、「集合研修」、「eラーニング」の3つです。
OJT
「OJT (On-the-Job Training)」とは、日常の仕事を通じて「職場で行われる」研修のことです。日々の業務に即した内容そのものを、個別指導で行うため、研修の効率が良く、効果的という利点があります。
この方法は、教えてもらう側だけではなく、教える側にも自分自身の知識をアウトプットすることで習熟度が上がるといったメリットがあるのが特徴です。
集合研修
集合研修とは、座学や講義、体験型授業などの「集合して」行う研修の総称です。
この方法の利点は、「同じ」を多人数に一度で実施できるため、効率よく研修がすすめられることにあります。また、体系的、理論的知識の習得にも適しています。
ワークショップ形式の研修ならば、部署間での交流が少ない場合でも社員間の相互理解を深めやすく、社員の社内ネットワークの構築の助けとなるでしょう。
集合授業にも「座学・講義型研修」や「対話・体験型研修」などの方法があり、目的や状況に応じて研修方法を変えていくと、より効率的に行うことができます。
例えば、学んだ知識を仕事に活かすことを重視するならば、「座学・講義型」の研修後に「対話・体験型」のワークショップなどをひらき、学んだ知識を活かして能動的に行動させるような研修を立案するとよいでしょう。
eラーニング
近年注目されている研修方法のひとつが「eラーニング」です。スマートフォンやタブレットなどを用いることで、ネット環境さえあれば、どこでも、いつでも好きなときに学習できるのが魅力です。
教材の購入や開発のための費用はかかりますが、講師を呼んで何度も研修を実施するよりコストや労力が抑えられる最新の学習方法として広く受け入れられています。
また、集合研修やOJTでは講師の質にばらつきがあるというデメリットがありますが、eラーニングならば教育の質を均一に維持できるため、研修を行った時期による習得度のばらつきをある程度抑えることができます。
大人数でひとつの学習をする集合学習と比較すると臨場感に乏しく、受動的になりやすいといったデメリットがありますが、現在では、そういったデメリットを払拭すべく「アクティブラーニング」の考え方を取り入れた研修も出てきています。アクティブラーニングとは、受動的に学ぶのではなく、学習に能動的に取り組めるような学び方を指します。
手軽に効果的な社内研修を取り入れたいのならば、まずはeラーニングから検討してみるとよいでしょう。
【社内研修の作り方】
(1)構成要素を洗い出す
設定したゴールに到達するために盛り込むべき要素を洗い出します。まずはできるだけたくさんの要素を洗い出し、その後に優先順位付けをします。
要素検討のステップ
- ①拡散する~できるだけ多くの内容を洗い出す
- ②分類する~類似の内容をまとめるなどをして分類する
- ③優先度をつける~内容ごとに「必要」「参考」「不要」などに分類する
研修で取り上げる必要があるかを考える
研修時間が限られている中で、本当にその要素を研修の中で取り上げる必要があるのかを考えます。
例えば、専門的な技術に関する内容は、自己研鑽を促すほうが効率的である場合があります。また、受講者によってあまりにもばらつきが出そうな内容も、検討が必要です。
(2)おおまかな流れを作る
構成要素を洗い出したら、研修の内容に合わせて構成要素を積み上げておおまかな流れをつくります。また、構成の仕方については研修の内容によって以下のようなパターンがあります。
パターン1:手順重視型
手順が重要なスキル・知識を習得するための研修です。このパターンは研修プログラム作成においても、必ず同様の手順を踏襲することが重要です。
例)問題解決研修
問題解決は、大きく以下の4つのプロセスを経て実施します。カリキュラムでは全体像を示したうえで、手順どおりに研修を構成することで、受講者の理解が促進されます。
- ①問題発見・真因追及
- ②解決策・目標設定
- ③行動計画策定
- ④行動計画実施
複数のスキル・知識を網羅的に学ぶ研修です。このパターンの研修は構成要素に手順が存在しないため、カリキュラム上は自由に組み立てることができます。組織の課題に合わせて優先順位などを決めましょう。
例)管理職研修の例
管理職の3つの役割は、以下のとおりです。
- ①指導・教育者としての役割
- ②業務遂行・管理者としての役割
- ③プレイヤーとしての役割
どれを重視するかは組織によって異なるため、組織ごとに優先順位をつけてカリキュラムを並べ替えることができます。
(3)時間を調整する
構成要素や大まかな流れが決まったら、研修時間にあわせてそれぞれの単元で何にどれくらいの時間を使うか調整していきます。基本的な構成は、講義 ⇒ 演習(個人ワーク→グループワーク→グループ代表の発表) などを1つの単元として、これを積み上げてカリキュラムを構成するのが基本です。1単元は60分~90分程度で構成します。
- アイスブレイク(5分〜10分) 研修冒頭に必ず行います。(例)研修の目的や実施の背景の説明
- 講義(20分〜30分) 講義なしで研修は成立しません。ただし、よほどの内容がない限り、講義だけでは眠たくなるので、最低限にします。
- 演習[個人ワーク](10分) ある設問に個人で検討します。まず、個人の意見を書き出してみることで、グループでの議論で自らの意見を発表しやすくします。
- 演習[グループワーク](15分) ある設問にグループで議論します。グループ人数2〜3人で演習のテーマによっては30分程度かける場合もあります。
社内研修は、実施しただけで終了するものではありません。研修内容が実務に反映されているか、実際に身に付いているのか、その効果を検証することが必要になります。
研修後には、アンケートなどで受講者の反応を必ず調査するようにしましょう。
アンケートの結果は、担当者の最大の成果物にもなるので、webで検索できるテンプレートをそのまま使用するのではなく、講習毎にヒアリング項目を設定するなど、しっかり作り込むようにしましょう。
また、ここでは新入社員研修を例に、研修担当者が社内研修後にも押さえておくべき振り返り項目をご紹介します。
① 社員同士の関係構築
新入社員研修の実施後は、社員が企業から受け入れられていることを実感できる体制を整えることが大事になります。
新入社員同士や上司・部下との関係構築が進んでいるのか、職場内で新入社員が自らアクションを起こしやすい環境になっているか、などをチェックしてみましょう。
社員同士での会話が増えるように「歓迎会を開催する/一緒にランチに行く」「社員の自己紹介シートを渡す」などといった施策を実施することも効果的です。
② メンタルケア
自分が関与する問題を自分の中に囲い込んで、社員が1人で悩んで鬱になってしまうケースが近年よく見られます。
新入社員が職場で孤立していないか、社員が相談しやすい雰囲気を作ることができているか、チェックしてみましょう。
また、業務の進捗が上司や同僚にしっかり伝わる体制になっているか、日常の報告方法や有事の際の連絡導線を決め、新入社員へ明示することも大事になります。
③ 業務の振り返り
研修後、業務をする中で自分の現状の立ち位置や役割、今後の課題について意識させる必要性も出てくるでしょう。
新入社員研修時に使用したワークシートなどを使用して定期的に面談を実施するなど、社員が業務について振り返る機会を作ることも大事になります。
今、できていること/できていないことを整理し、新入社員研修を実施した時とのギャップを埋めることで、社員自身が次に何をしたら良いか目標を立てやすくなります。
【まとめ】
研修を実施すれば終わりではありません。実務に活かしてこそ意義があります。参加したメンバーがどの程度研修の成果を出せているかを検証・評価します。
これらを蓄積して自社のノウハウとして、今後の研修内容や実施方法に役立てていきます。
【参考書籍】
以上が本日のテーマになります。ご覧頂き、ありがとうございました!
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