どうもanjinです!
今日は人事分野の『ファシリテーション』を書きます。ファシリテーションという言葉は数年前から日本でも聞くようになってきましたが、一体何なのか。基本部分中心に説明していきます。
【ファシリテーションとは】
ファシリテーションとは、『集団活動のスムーズな進行と成果を出しやすい環境の構築を目的とした支援活動、または会議運営の手法』を指します。
主に会議やプロジェクトの進行手法として活用され、合意に向けた論点整理や合意形成、参加者のモチベーション向上、アイディアの促進などの目的で行われます。また、ファシリテーションを主導する役割を担う人を「ファシリテーター」と呼びます。
異なる能力や多様な価値観をもつ人材が集まると、組織内に多様性が生まれ、さまざまな効果をもたらす一方、新たな課題も生まれます。そのため、メンバーの主体性を促進し、多様な意見とアイディアを最大限に活かす役割が求められるようになりました。
ファシリテーションは有能な人材の相互作用を促し、イノベーションの創出や問題解決、情報共有を可能とする優れた手法といえます。近年、このスキルは組織のリーダーにとって必要不可欠であるとされ、注目を集めています。
【ファシリテーターの役割】
ファシリテーター(facilitatior)とは、ファシリテーションという役割を行う人のことです。
ファシリテート(facilitate)という言葉には、「容易にする」「楽にする」「促進する」といった意味があります。つまり、何らかの事柄を円滑に進むよう支援する働きを「ファシリテーション」といい、そのために動く人のことを「ファシリテーター」といいます。
ファシリテーターの役割を大きくわけると2つあります。
1つは物事や予定の進行・段取りといったもの、もう1つは集団にいる1人1人の考えや思いを整理するものです。会議を例にすると、会議の時間や場所などを決める段取りに加えて、参加する人たちの言い分を把握したり、議論をスムーズに進めるための進行をします。
単に物事を進めるための調整を行うだけでは、集団が満足感を得られなかったり、思うような成果が得られないことがあります。そこで重要となるのが、内面的な部分に対する調整です。
集団には様々な考えを持った人がいるため、時には意見が合わなかったり話が進まないことも少なくありません。そんな状態に陥った時、ファシリテーターが段取りだけでなく、参加者間の調整も行うことによって、会議を良い方向に持って行くことができます。
会議という場面でファシリテーターが行うべきことについて、具体的に挙げてみると以下の3つがあります。
1.意見を聞き出す
参加者からの意見を聞き出し、全員に見えるようホワイトボードに書き出します。
聞き出す時に重要なのが、受け身で意見を聞くのではなく、意見を出すように働きかけるということです。能動的に聞き出すことで、あまり発言しない人からの意見も引き出すことができます。
また、ファシリテーターはあくまで進行役ですので、自分の考えを意見しないというのもポイントです。意見を出すとしても、話のきっかけになるようなもの程度に抑えておきます。参加者が意見を出しやすい環境を作り出すのがファシリテーターの目標です。
2.意見をまとめる
参加者から出た意見を全体が確認できるようにし、まとめていきます。参加者全員に今出ている意見を眺めてもらい、意見がほかにないか「聞き出し」と「まとめ」を続けていきます。意見をまとめることで、参加者間の認識が共通になっていきます。
3.意見を整理する、絞りこむ
様々な意見を整理し、特に重要な意見・必要な意見に絞り込みます。意見がたくさん出ることは重要ですが、実際には全てを実現することは困難なこともありますので、選択する必要があります。
【ファシリテーションの重要性】
ファシリテーションによって話し合いが促進され、個人プレーでは実現できないような成果を出すことができるようになると言われていますが、実際にはどのような効果があるのでしょうか?
ファシリテーションによって得られる効果は、下記の通りです。
■生産性の向上
より多くの意見が出され、付加価値の高い成果を生み出しやすくなります。
■会議の時間短縮
話が横にそれること、議論が収束しないという事態を防ぎ、会議の時間が減ります。
■ネクストアクションの実現
話し合いの成果として出た「誰が、何を、どうするか」というネクストアクションが明確に共有されるため、確実に実行に移されます。
■参加者のモチベーション向上
話しやすく、居心地のいい雰囲気を作ることができるため、参加者の話し合いへのモチベーションを向上させることができます。
■チームワークの向上
参加者が協力しながら話し合いを進められるルールや仕掛けをとりいれ適切に取り入れることができるため、参加者のチームワークを向上させることができます。
上記のような効果があるのがファシリテーションです。特に昨今はVUCAワールドと言われる時代のため、トップにいるリーダーが必ずしも答えを知っているわけではありません。明確な答えのない中で、メンバーで知恵を出し合い、チーム活動を促進していくスキルとして、ファシリテーションのスキルは重要性が高まっているといえるでしょう。
【ファシリテーションの進め方】
実際にファシリテーションを行う際、下記の5ステップで進めていきます。
ステップ①:雰囲気づくり
まずは、その場にいるメンバー全員が発言しやすくなるような雰囲気をつくっていきます。
議題は一旦横に置いておき、ファシリテーターが何気ない話題を提示することで、みんなの意識を話し合いの場に集中させます。
全員に一言ずつ話してもらったり、しりとりなどの簡単なゲームを行ったりするのもよいでしょう。
メンバーの気持ちがほぐれたら、この場が目指す目的と、発言におけるルール(発言者が話し終えるまで口を挟まない、少なくとも一度は意見を出すなど)を設けて共有しておきます。
ステップ②:意見出し
発言しやすい雰囲気が整ったところで、いよいよ本題に関する意見を募っていきます。「拡散プロセス」とも呼ばれる段階です。
ファシリテーターは、出された意見をオウム返しすることで「あなたの話を聞いていますよ」という態度を示して発言者を安心させたり、それまでに出た意見とは反対の立場やより広い枠組みなどを提示することで違った観点からの意見をうながしたりしながら、より多くの発言を引き出していきます。
出された意見をホワイトボードなどに書きとめていくことも、ファシリテーターの役目です。
ステップ③:整理
ステップ②で出された意見を整理していきます。「収束プロセス」とも呼ばれる段階です。
ファシリテーターは、出された意見同士の共通項を探っていく方向にメンバーの意識を向けさせ、それぞれの発言を共通項ごとに分類していきます。
すべての発言を分類し終えたら、ファシリテーターは分類結果が適切かどうかメンバーに問いかけ、全員が納得していることを確認します。
もし、ここで納得できていないメンバーがいれば、見過ごすことなく納得できるまで話を詰めていきます。
ステップ④:判断
ステップ③で整理した内容をもとに、最終的な判断を行っていきます。
ここで重要なのは、ファシリテーターが明確な判断基準を提示することです。
「最もメリットが大きく、最もメリットが少ないもの」「費用対効果が最も大きいもの」など、全員が納得できるような判断基準をもとに、望ましい結論を導き出していきます。
ステップ⑤:確認
最後に、ステップ④で出された結論に全員が納得しているかどうか、改めて確認をします。
その上で、出された結論を実行していくための具体的な行動を決めていきます。
「誰が」「何を」「いつ」行うか、という観点をもとに、きちんと成果が出るような行動計画を立てて初めてファシリテーションは完結します。
【参考書籍】
13歳からのファシリテーション クラスで、学校で、社会で役立つ コミュニケーション力が身につく本 (コツがわかる本!ジュニアシリーズ)
以上が本日のテーマになります。ご覧頂き、ありがとうごさいました!
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