どうもanjinです!
今日は人事分野の『ビッグファイブ理論』について書いていきます。ビッグファイブとは、人間の性格は5つの特性で表すことができるというものです。記事を見て頂き、興味があれば自己診断してみるのをおすすめします。
【ビッグファイブ理論とは】
ビッグファイブ理論とは、『人間の性格は5つの要素の組み合わせによって決定されるという、科学的・心理学的に最も信憑性があるとされている性格分析の理論』です。
アメリカの心理学者でオレゴン大学の名誉教授でもあるルイス・ゴールドバーグが提唱したもので、現在日本で使われている性格適性検査もこのビッグファイブ理論を元に設計されています。
【ビッグファイブ理論が出てきた背景】
1936年、ゴードン・アルポートとヘンリー・オドベルトは人間の特性に関する4500ものリストを集めました。これが、他の心理学者たちが性格の基礎を作り始める決心をするための発見になったのです。
1940年、レイモンド・キャッテルと同僚は16の特性に絞り込みました。さらに、他の心理学者たちがキャッテルのリストを5つのものにまとめあげました。他の心理学者とは、ドナルド・フィスク、スミス、ノーマン、ゴールドバーグ、マクラエ、コスタ等です。
特に、ゴールドバーグは強くこの5つを提唱しました。彼の仕事はマクラエとコスタによってさらに拡張されます。彼らはこのモデルの有効性を確実にし、今日使われているようにしたのです。
それがビッグファイブとして知られ注目を集めてきたのです。様々な人種や文化の間で研究され、今日の性格理論として広く受け入れられるようになりました。
この5つの特性は、様々な性格の尺度を含んでいるのも特徴です。1つの特性が複数の面を含んでいます。
【類型論と特性論の違い】
人間にはさまざまな性格の人がいることは、皆さんも日常生活の中で感じているかと思います。心理学の分野では、性格について大きく2つの方法でとらえようとされています。1つは「類型論」、もう1つは「特性論」と呼ばれてます。
〈類型論〉
類型論とは、人の性格に関するいくつかの典型的なパターンを作成し、それに個人を当てはめることで、その全体的な特徴を捉えようとする分析手法です。類型論の長所としては、直感で典型に当てはめることで全体像を理解できるため、手軽で単純明快であることが挙げられます。
類型論を採用している性格分析としては、クレッチマーの提唱した3類型やユングの提唱した8類型などがあります。
〈特性論〉
特性論とは、人の性格が複数の特性によって構成されているものだと見なし、性格を構成するそれぞれの特性を数値化して、その高低を比較する分析手法です。性格特性論の持つ長所としては、それぞれの特性を数値化するため、どの特性が強く、どの特性が弱いのかを明確に判断できる点が挙げられます。
性格特性論を採用している性格分析としては、ビッグファイブのほか、アイゼンクの提唱した3特性や、キャッテルの提唱した12特性があります。
【ビッグファイブ理論の5因子】
「ビッグ・ファイブ」の考え方は、5つの要素でその人のパーソナリティの特徴を大まかに説明できるとするものです。5要素は研究者によって多少その内容は異なりますが、基本的な考え方は全て同じで、現在最も広く利用されているのは「コスタ&マックレー」のモデルです。
- 誠実性(conscientiousness)
- 情緒安定性(neuroticism)
- 開放性(openness)
- 外向性(Extraversion)
- 協調性(Agreebleness)
誠実性(conscientiousness)
誠実性(conscientiousness)は、短期的な衝動や欲よりも長期的・合理的な利益を優先する節度の度合いを測る性格軸です。
誠実性の高い人は、責任感があり、誠実で、計画性を持ち、勤勉です。逆に誠実性の低い人は、無責任で衝動性が強く、場当たり的で、あきらめがちな面が強く出ます。
誠実性を個性ととらえる見方は、いくつかの伝統的な考え方を塗り替えます。たとえば、性善説・性悪説はいずれも適切ではなく、実際には多様であるということが分かります(なお善悪については、協調性も関係します)。 また「人間は弱い生き物だから」という紋切り型も簡略化し過ぎた捉え方です。
情緒安定性(neuroticism)
情緒安定性は、神経症傾向(neuroticism)とも呼ばれ、不安を引きずる度合いを示します。 名称と内容は比較的一致していて、穏やか←→感情的、楽観←→不安といった軸で分布します。
かつて、ヒステリー・神経症は病気の一種でしたが、分類の変遷の中で、不安症やうつ病などに細分化された経緯があります。
神経症傾向の強い人は、同じストレッサーに対してより強い不安・ストレスを受けます。 仕事は持続的なストレス源であるため、長期的にみると情緒安定性の低い人は仕事が続かず辞めているという見方があります。
開放性(openness)
開放性は「経験への開放性」(openness to experience)とも言われ、ビッグ・ファイブの中では一番とらえにくい性格尺度と言えます。
開放性の高い人は、新しい経験に対してオープンであり、知的で、連想が広がりやすい傾向があります。逆に開放性が低い人は、変化を好まず、感覚的であり、大雑把でときに頑固で、権威に従順な面があります。
開放性の度合いは、コミュニケーション上の情報量の違いを生むため、高低差の大きい人の組み合わせは相性が悪く、お互いのスタイルに不満を持ちがちです。
開放性が著しく高い人は連想が止まらず、言葉としてのまとまりを欠くため周囲から見ると意味不明になることもあります。 また、オープンであるということは、自分と環境の境界意識が薄いということでもあります。フロー状態へ入りやすいという研究もある一方で、幻聴に結びつきやすいとも言われています。
外向性(extraversion)
外向性(Extraversion)は、活動性や元気の良さを表します。 外向性の高い人は見た目にも分かりやすく、しゃべり続けたり活発に動き回ったりする傾向が強く出ます。逆に外向性が低い人は、いわゆる内向的なプロフィールとなり、引っ込み思案で無口で身体活動も低調です。
また、外向性の高い人は社交関係では相手の気をひくことに関心を持ち、より支配的な立場を取りたがります。
協調性(Agreebleness)
協調性(Agreebleness)は、一般的な意味の協調性と関係がありますがニュアンスはやや異なります。
ビッグ・ファイブの協調性は、集団と一体である度合いを示しており、また同時に自分を見失う度合いでもあります。 協調性の高い人は、親切で気前が良く、だまされやすい一方で、自分なりの考えを持ちにくくもあります。 協調性の低い人は、利己的で非協力的ですが、集団と距離を置いて自分の考えを持つことは得意です。
【ビッグファイブの考え方】
ビッグ・ファイブの考え方とは、血液型のようにタイプ分けをして、「このタイプの人はこんな性格」といったものではありません(ちなみにそういうものは「類型論」という)。
ビッグ・ファイブは、各要素に点数付けするなどして、その配分からその人の性格の特性を見ていこうとするものです(こういうものを「特性論」という)。
そのため、「当たってる!」とか「う〜ん、当たってない」とか、そういった楽しみ方には不向きですが、つかみどころのない性格というものを把握するためには、むしろこちらの方が有効かもしれません。
「自分のことを知りたい。自分の性格がよくわからない」という人は、このビッグ・ファイブを手がかりに自己理解を深めていくことも可能です。この5つの要素から、大まかに自分の性格の傾向が掴めるはずです。
自分の普段の行動や意思決定について考えてみると、このビッグ・ファイブの結びつきの中から来ていることが理解できると思います。
ちなみに、自己理解を深める際には、自分の性格やパーソナリティに対して、「良い/悪い」などの評価はせず、ただ「自分はそういう特徴を持っているんだな」と受け止めることが大事です(パーソナリティに良い/悪いはありません)。
そして、それを「直す」ものとしてではなく、「活かす」方向で考えていくべきものです。
【ビッグファイブの各特性】
これまでのビッグファイブを用いた先行研究でわかっていることがいくつかあります。
下記に、各特性の例をあげます。
- 外向性については管理職と営業職で業績評価について有効であった。
- 誠実性のみがすべての職業において有効に影響を及ぼしていた。
- 営業管理者のキャリア満足度に有意な相関があったのは誠実性、神経質傾向、開放性の3項目だった。
- 外向性がリーダーシップ力と正相関する
- 誠実性が、職務評価を最も予測するパーソナリティー特性である
これ以外にも多くの研究がありますが、現状で言えば、ビジネスマンとして最も重要なビッグファイブの特性は 誠実性 であると言えるかもしれません。
【適性検査でも活かせるビッグファイブ理論】
現代の性格分類において、最もメジャーである分類方法として確立されているこの「ビッグファイブ理論」は、多くの適性検査においても用いられている、非常に汎用性のある理論です。内容は、1990年代、心理学者のルイスゴールドバーグが『パーソナリティの特性論(性格分析)』において「人間が持つさまざまな性格は5つの要素の組み合わせで構成される」としたものです。
心理学の性格研究では、長年にわたって様々な性格類型や特性が提案されてきましたが、お互いに別物であり科学にならない、という難問を長らく抱えていました。ゴールドバーグが大規模な多変量解析によって特定した構造が「ビッグファイブ理論」であり、現在では最も信頼性のある性格分析と言われています。
多くの企業で用いられる性格適性検査は、ビッグ・ファイブ理論に基づいて設計・開発されており、人間の性格を理解する上で非常に役に立つ理論です。ビッグファイブ理論に基づいた、活躍する人材や職種の分析などの研究も多く存在し、現在でも研究が続いている分野であるため、最新の研究結果報告からの学びも多く得られます。
【まとめ】
ビッグ・ファイブの値が高いから良い、低いから悪いということありません。
日々の自分の行動が、どの性格特性から生まれているか客観視するため基準として利用してください。
ビッグファイブ理論を活用することで自分自身の性格を理解でき、チーム内で共有することで相互理解が深まって、その後の仕事が円滑に回るようになります。
【参考書籍】
以上が本日のテーマになります。ご覧頂き、ありがとうございました!
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