どうもanjinです!
今日は人事分野の『ダイアローグ』を取り上げます。あまり耳なれない言葉だと思うので、定義から解説していきたいと思います。
【ダイアローグとは】
ダイアローグとは、もともとは2人以上の登場人物がかわす対談や対話を指す演劇用語で、人事用語としては、『相互理解を深めるコミュニケーション手法のこと』をいいます。
通常のおしゃべりのような単なる言葉のやりとりではなく、聞き手と話し手が双方向で相手の意識や注意、共感を引き出し合うコミュニケーションとされています。
お互いの意見に優劣をつけるのではなく、話をきっかけに次の行動につなげる、違った視点から新たな解決策や、さらなる探求テーマを発見するなど、創造性のあるコミュニケーションがダイアローグです。
課題解決やパフォーマンス向上に有効な手段として、人材育成や学校教育の場でも取り入れられています。
ダイアローグの開発者である、アメリカの物理学者、デビット・ボーム博士は、量子理論に基づいた人間の思考プロセスに関する研究の中で、ダイアローグを開発したといいます。
ボーム博士の開発後も様々なグループによって研究が重ねられ、1990年代にマサチューセッツ工科大学の研究グループによって「学習体系の中心的プロセス」として位置づけられたことから、注目を集めるようになりました。
【ダイアローグが注目されている背景】
現在、ダイアローグが注目されている背景には、まず雇用形態や人材が多様化しつつあることが挙げられます。能力や立場、勤務場所や時間も違う人々を1つにまとめて組織の生産性を高めるためには、個々の状況や考えをそれぞれ理解していく必要があります。
また、人手不足によりそれぞれが目の前の仕事に追われ、他人の立場を考える余裕がない状況、そしてIT化が進みメールで連絡が可能になり対面で話す機会が失われつつある状況が起きています。
これにより、人とのつながりが薄れ、コミュニケーションに問題が生じてきたのです。
会社が成長するために、ダイアローグは重要になります。
対面して話すことで、誤解を避けることができます。言葉だけではなく表情や声、場面など多角的に情報を共有しているからです。メールの短い文面で誤解を生んだり、電話で相手の心理を図りかねたりする経験は誰にも思い当たるものだと思います。予想していなかったアイデアが生まれる可能性が高いのも、ダイアローグの特徴です。
用件を伝えるだけになりがちなコミュニケーションに広がりを与え質を高めるには、直接顔を合わせて話をすることが必要なのです。何より「人とのつながり」は仕事へのモチベーションを高めます。会って話をした相手には、より「協力しよう」と思う気持ちが生まれるのではないでしょうか。
さらに理解が深まるのは相手だけでなく、今まで気づかなかった自分自身についてもダイアローグを行うことで知ることができます。
そして、問題解決を可能にしてくれるのもダイアローグです。お互いの立場や状況、知恵を共有することで、多様な視点からの情報が得られるからです。
【ダイアローグと「会話」「ディスカッション」との違い】
「会話」、「ディスカッション」は『ダイアローグ』と似ていますが、意味が若干異なります。
会話は『自由な雰囲気のなか、2人以上でおしゃべりや情報交換を楽しむものです。』
ダイアローグも自由な雰囲気で話すことは共通していますが、課題や問題点などに向き合い、しっかり話し合ったり理解し合ったりするという意味があります。
一方、ディスカッションは会話や対話のように自由な雰囲気というよりも、緊張感のある雰囲気の中で行われます。
「ディスカッション」は、『あるテーマをもとに結論を出すための意見交換を行います。』
それに対しダイアローグは、信頼関係を築く手段として使われます。
ほかの評価の仕方を探ったり、選択肢を見つけたりしながら、お互いの理解や認識を深めていくのです。
ちなみに、ダイアローグの対義語にあたるのがモノローグです。モノローグは独白やひとり芝居などの意味があります。
【ダイアローグの実施方法】
それでは、ダイアローグの具体的な実施方法について説明します。下記の流れで進めることが一般的です。
- アイスブレイク
- 自分の意見を述べる
- 相手の意見に耳を傾ける
- 新しい発見を生み出す
アイスブレイク
最初に、普段通りの会話を行って雰囲気づくりを行います。無理に深い話をしようとせず、当たり障りのない会話でかまいません。リラックスして話やすい空気を作ることで、「発言しやすい空気」を作ることが目的です。
話し合いにあたって、ファシリテーターを立ててもいいでしょう。ダイアローグの経験者をファシリテーターとして中心に据えることで、話がディスカッションに向かっていたら軌道修正するなど、ダイアローグをより深めることができます。
〈ファシリテーターの詳細は下記の過去記事を参考にしてください。〉
自分の意見を述べる
続いて、テーマについて、全員が自分の意見を率直に口にしていきます。この段階までは、特に相互理解といったことは意識せず、いつも通りの会話や会議と同じように発言を行って構いません。
全員が平等に、自分の考えを素直に口にしていくことが大切です。相手の意見に対して、質問したり根拠を聞いたり、時には反対意見や不満をいってもいいです。全員が自身の中にある思考や体験を、提示していきます。
相手の意見に耳を傾ける
相手が提示した意見に対して、さらに理解を深めていく段階です。断定的な口調を抑え、問いかけを増やして、オープンな気持ちで相手の意見を受け入れます。
どんな意見に対しても、否定したり、押し込めたりすることは禁物です。また、役職や年齢によって相手を下に見てもいけません。「誰が言ったか」ということにとらわれず、好奇心を持ってより深く理解するよう心がけましょう。
新しい発見を生み出す
問いかけや仮説検証など、それぞれが内省しながら話し合いを続けていくと、これまでになかった価値観や発想が生まれるようになります。
そうすると、参加者が考えの変化や今後チャレンジしたい行動などを口にするようになってきます。参加者が一体感や満足感を感じられるようになり、チームの結束力が強まります。さらに、固定観念や思考の枠組みを取り払うことで、さらなる探求心が生まれ、次なる行動への指針やビジョンが生まれます。
【ダイアローグのメリット】
メリット1:相手の話を聞く力がつく
特に、近年は学生が教授の話を受け身で聞くだけという授業が多く相手の話を聞く力というものが薄れています。社会人になり、主体性が求められる中でダイアローグは役立ちます。
メリット2:自分の意見を言えるようになる
ダイアローグを行うことで、自分の意見が必ず求められるため、自然と自分の意見を言えるようになるメリットが生まれます。最近ではそういった場が少ないため、非常に役立ちます。
メリット3:相互理解を深める
その先に、互いの意見を聞きさらに理解するところまでがダイアローグの目的です。したがって、自分の話す内容だけでなく、相手の意見を聞いてお互いの理解を深めることができます。相手との理解を進めることに役立ちます。
メリット4:結果として企業の成長につながる
従って、ダイアローグを行うことで企業が成長することにつながると言えるでしょう。
【まとめ】
ダイアローグとは対話や対談という意味ですが、組織におけるコミュニケーションのあり方を考えた時のダイアローグは、情報のやりとりにとどまらず、話す側、聞く側がお互いに理解を深め、行動や意識を変化させるような創造的なコミュニケーションを指します。
多様化していく企業において、ダイアローグを重視した対話する組織作りは、企業の成長にとってとても大切だと思います。
【参考書籍】
本日のテーマは以上になります。ご覧いただきまして、誠にありがとうございます。
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