【ビジネス】メンター制度とは何なのか(メンター制度とOJT制度との違いとは)

ブログ

どうもanjinです!

今日は人事分野の『メンター制度』について書きます。現在、人事制度も色々と変化する中で1つの手法として出てきたものです。メンターは聞いたことがある人もいると思いますが、それをどう制度化していくのか説明していきます。

【メンター制度とは】

 

メンター制度とは、『新入社員や若手社員などの悩みに対して、年齢や社歴の近い先輩社員が助言する制度』のことで、英語のmentor(助言者・指導者)に由来します。先輩社員などサポートする側を「メンター」、新入社員などサポートされる側を「メンティ」と呼びます。客観的なアドバイスができるように、メンティとは別の部署に所属する社員がメンターになるのが一般的です。

近年、雇用形態の多様化や雇用の流動化など企業・労働者を取り巻く環境は変容しました。それを受けて、職場内における新たな人間関係の構築とキャリア開発を促進する取り組みとして、厚生労働省もメンター制度を推奨しています。

2012年度に、厚生労働省より発表された『メンター制度導入・ ロールモデル普及マニュアル』をきっかけに、「メンター制度」が注目されました。

また、昨今ではコロナウイルスの影響なども有り、『テレワークでのストレスをマネジメントライン以外の要素で、どうのように解決して行くか?』という点で再度注目されつつあります。

【メンター制度が出てきた背景】

 

 

メンター(Mentor)とは、メンタリング(Mentoring)における指導者のことで、元々は古代ギリシャのホメロスの叙事詩『オデュッセイア』に登場するよき指導者メントール(Mentor)に由来するといわれます。メンタリングは1980年代になってアメリカで人材育成法のひとつとして確立されました。また、指導される側は「メンティー(Mentee)」と呼ばれています。

日本では、バブル崩壊後、年功序列や終身雇用制度を改め、組織のフラット化・スリム化が行われたころ、導入が始まりました。組織のスリム化や一人一人の生産性の向上は成功したものの、それぞれ自分のことに精いっぱいで面倒見のいい先輩や上司が少なくなっていき、組織内での人と人とのつながりが希薄になっていきました。すぐに退職してしまう新人や心の孤立をしてしまう社員が増えたため、社内でのメンタルヘルスの重要性とともに、メンター制度が注目されていきました。

 

【メンターについて】

 

 

新入社員を育成対象としたメンター制度において、メンターは日常の教育指導を担当する「OJT担当者」とは一線を画します。あえて、日常業務では接点の少ない先輩社員をメンターとすることで「職場でのリアルな悩みを相談しやすい」「仕事や将来についての視野が拡大する」という効果が期待できます。

メンターは入社4~8年目程度の管理職手前の若手・中堅層から選出することが多いようです。ある程度の業務経験と自分なりの考えを持ち、新入社員に対して幅広い視野・視点を提供することが可能でありながら、年齢的にあまり離れていない「話しやすさ」の面からも適している年代といえるでしょう。また、メンター側にとっても、管理職手前の段階で人材育成の実践機会が得られるという一石二鳥の施策となります。

【メンター制度の目的】

 

 

大きな目的としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 若手社員の育成と離職防止
  • 企業文化の継承
  • 社内コミュニケーションの活発化

これまで日本企業では、新卒一括採用、年功序列、終身雇用が一般的でした。そのなかで先輩・後輩の関係がごく自然に生まれ、オン・オフのさまざまな機会に、先輩社員は若手の悩みを聞いてあげたり、問題解決のための助言をしてあげたりしました。その若手社員がやがて先輩となり、自分がしてもらったように後輩の相談相手になる、という具合に引き継いでいったものが、終身雇用制の崩壊以来、次第に行われなくなってきました。

自然発生が無理なら、ひとつの制度として先輩・後輩の関係をつくり、若手の育成や定着、企業文化の継承、そして社内のコミュニケーションの活発化を図ろう、というのがメンター制度の目的なのです。

 

【メンター制度とOJT制度の違い】

 

 

メンター制度とよく比較されるものとして「OJT制度」があります。
OJT制度とは、「先輩社員が、後輩社員に対して行う、実務を通じた実践的な教育訓練制度のこと」です。メンター制度とOJT制度は、先輩社員が後輩社員に指導・助言をするという点では類似していますが、助言する側の所属している部署とサポートする範囲が違います。

OJT制度では同じ部署の先輩社員が担当します。対して、メンター制度では基本的に後輩社員とは業務上の上下関係・利害関係のない、別の部署の先輩社員が助言を行います。個人的なキャリア形成や問題解決など、私的な問題を含めて相談にのることがあるため、面談などのコミュニケーションスキルや関係構築がより重要な要素となります。

 

【メンター制度のメリットとデメリット】

 

 

《メンター制度のメリット 3つ》

新入社員・若手社員のモチベーション維持

新入社員・若手社員は職場環境や人に慣れていないため、一人で不安を抱え込むことが少なくありません。メンター制度によって気軽にコミュニケーションを取れる先輩がいることで職場になじみやすくなり、早期離職の防止にもつながります。また、不安が解消されることで仕事への意欲を維持しやすくなるメリットもあります。

メンターとなる先輩社員の成長

人に教えることで、教える人自身もさまざまな学びを得ることができます。あらためて自分自身を見つめ直したり学び直したりするなど、メンター自身の成長にもつながります。また、多様な考え方や視点を身につけるきっかけにもなります。

他部署間のコミュニケーションを促進

OJTやエルダー制度では、基本的に同じ部署の先輩が教えることが多いのに対して、メンター制度では別部署の先輩社員が担当することが一般的です。そのため、業務で直接的な関わりがない社員間でのコミュニケーションが促進され、組織の活性化が期待されます。

 

《メンター制度のデメリット 3つ》

メリットが多いメンター制度ですが、一方で下記のようなデメリットもあります。

相性によっては悪い結果を招く

メンター制度は基本的に、メンターとメンティーの間に良好な人間関係が築かれることが前提です。そのため、相性が悪いと、相談をするどころかメンティーがストレスを感じる結果になってしまいます。

逆効果とならないためにも両者の相性をよく検討して決めることが大切です。また、初回面談の状況から、場合によってはメンターを変更するなどの仕組みを整えておくことも必要です。

メンターとなる先輩社員の負担

メンターとなる先輩社員にとっては、メンターの役割は通常の業務にプラスされる任務です。そのためメンターとなる先輩社員は、業務上の負担が大きくなります。メンター選出の際には、候補となる先輩社員だけでなくその上司ともよく話し、メンターとして行ってほしいことを具体的にしておくとよいでしょう。

メンターの質のばらつき

メンターとなる先輩社員の知識やスキル、人柄によっては、メンティーとなる新入社員・若手社員の成長に差が出てしまうことがあります。メンターへの事前研修やレクチャーを行い、なおかつ途中で状況をヒアリングするなど、メンター任せの属人的な内容にならないように注意する必要があります。

 

【メンター制度の導入ステップ】

 

メンター制度を導入する際に必要な7つのフローを順を追ってご紹介します。

フロー①:目的の明確化

若手社員の早期離職など、企業が抱える人事課題はさまざまです。まずは、メンター制度をどういう目的で導入するかを明確にしましょう。直近の若手社員や女性社員の定着率を確認し、現場の課題感をヒアリングするといった、企業の実態に合った目的を設定することが重要です。

フロー②:実施計画の策定

目的が明確になったら、次に実施計画を策定しましょう。メンター制度をスムーズに導入するためには、実施期間や対象者、メンターの選定方法などを具体的に決める必要があります。その際、制度導入の効果を測定できるように、「若手社員の早期離職率を何パーセント削減」といった定量的な目標を設定しておくのも効果的です。

フロー③:運用方法やルールの策定

メンター制度の円滑な運用のためには、運用方法やルールの策定が不可欠です。運用アニュアルを用意し、メンターがメンティに声掛けする頻度やトラブルを避けるためのルールを決めましょう。

フロー④:メンターの選定

メンター制度の成否は、メンターとメンティのマッチングがうまくいくかどうかに左右されます。そのため、制度の目的に合致し、かつメンターとしての適性がある人材を選ぶことが重要です。メンターの選定方法には、人事担当者がメンターとメンティの組み合わせを決める「アサインメント方式」と、メンターの候補者のリストをメンティに提示してメンティ自身がメンターを選ぶ「ドラフト会議方式」があります。

誠実で信頼できる人柄か、メンティと同様の問題を抱えていた経験があるか、人の相談にのることに意欲的かといった基準をもとに、メンターを選定しましょう。メンターが決まったら、事前研修を行い、メンターとしての認識を共通のものにしておくことも重要です。

フロー⑤:社内への周知

メンター制度を効果的に進めるためには、メンターやメンティへの周知のみならず、全社員の理解が必要です。全社員に制度の目的や実施内容について伝えることで、人材育成の重要度を認識してもらうことができます。

フロー⑥:運用開始

メンター制度を導入する準備ができたら、制度の運用を始めましょう。運用を始めてからメンターとメンティの相性が合わないと分かった場合には、メンターを別の社員に交代させることも、制度を運用する際には必要です。

フロー⑦:フィードバック

対象期間が終わったら、メンター・メンティの双方の声を集めることが重要です。アンケートや面談の実施によりメンター制度の課題を見つけ、今後の改善につなげていきましょう。

 

【まとめ】

 

 

メンター制度は、社員のメンタルをサポートするだけでなく、人材を育てる組織風土の醸成やコミュニケーションの活性化など、企業にさまざまなメリットをもたらすものです。

しかし一方では、メンターの質が問われるなど運用における難しさも指摘されています。現在ではメンター育成に力を注いでいる企業の事例も多くなっており、スキルや運用ポイントの可視化も進んでいます。導入を検討する際は、他社の成功事例なども参考にしながら、自社に適した方法を検討することが求められます。

 

【参考書籍】

 


メンターが見つかれば人生は9割決まる!

以上が本日のテーマとなります。ご覧いただき、誠にありがとうございました!

コメント

タイトルとURLをコピーしました