【会計】ビジネス教育〈粉飾決算〉経理で絶対にやってはいけないこと

会計(財務会計/管理会計)

どうもanjinです!

今日のテーマは『粉飾決算』をとりあげます。経理業務をしているとあまり聞きたくない用語ですよね。粉飾決算が行われる理由とどのような手口で行われるのかを中心に解説したいと思います。

【粉飾決算とは】

粉飾とは、文字通り「飾る」ことを言います。

それでは、粉飾決算においては何を飾るのでしょうか。

答えは、『決算書における利益』です。

粉飾決算とは、会社の利益の状況、つまり、損益計算書(PL)などの数値を良く見せる(飾る)ことを言います。

外部の株主や金融機関に決算書を見せる際、儲かっていることを示さなければ株主総会で批判を受け、また、金融機関からの融資を受けにくくなってしまいます。

従って、儲かっているように見せる(粉飾決算を行う)会社が中には存在します。

例えば、金融機関は貸したお金がきちんと返ってくるかどうかを重視します

従って、売上の水増しや架空の売り上げ、経費をごまかして利益が大きく見えるように粉飾をされた場合、見せかけでは返済能力があるように見えるでしょう。

しかし、実際は大して儲かっておらず、貸したお金が返ってこないような場合、金融機関は多大な損害を被ります。

粉飾決算は外部の関係者に迷惑をかけるうえ、当然、経営者自身も刑事上の責任等を負うことになるのでやってはいけない行為です。

粉飾決算を防止するために、大企業や上場企業は、公認会計士や監査法人による監査を受けることが強制されています。

【粉飾決算が行われる理由】

一般的に、粉飾決算は会社の業績を良く見せ、対外的な信用を得る目的で行われています。しかし、粉飾決算は犯罪です。そこまでして業績を良く見せる企業があるのは、以下のような理由が挙げられます。

 

金融機関・銀行からの資金調達のため
・投資家からの資金も集まりやすい
・公共工事の受注のため
・売上低迷に対する株主からの追及逃れ
・株価・配当の維持
・赤字決算による上場廃止を避けるため
・社内での営業成績維持のため
・企業価値を上げるため
・経営者の自らの保身

 

売上や利益が多いと、銀行・株主から信頼を得られるため、資金調達をしやすくなります。資金が集まると、会社の運営をスムーズにしていけます。そのために、実際よりも良く見せようとする企業が、不正に手を染めてしまうのです。

 

 

【粉飾決算の手口について】

では、粉飾決算では、どのように決算書を操作するのでしょうか?

粉飾決算の場合、業績を良く見せるために、資産や売上を増やしたり、経費や売上原価を減らす、などの操作をします。

その他にも、粉飾決算でよく見られる業績を良く見せる手口には、次のようなものがあります。

・売上の過大計上
・売上の架空計上
・前受金、仮受金、預り金を売上で計上
・収益計上時期を繰り上げ
・借入金の過少計上
・在庫の過大計上
・在庫の架空計上
・貸借対照表の資産を過大計上
・仕入れや未払い計上を先送り
・支払済の経費を仮払金や貸付金に振替て計上
・費用や経費を翌期以降の費用に計上

 

このように粉飾決算の手口をみてみると、その方法は「利益を上げる」ことと「経費を減らす」ことです。

つまり、簡単に言うなら、売上を上げて、経費減らすことを故意的に操作しています。売上を上げるためには、架空の売上を計上したり、在庫を増やすことです。

また、経費を減らすためには、仕入れを先送りに計上することなどが挙げられます。

では、下記にてよくある手口について詳しくみてみましょう。

手口①:売上の過大計上や架空計上

粉飾決算によくある手口のひとつには、売上の過大計上や架空計上が挙げられます。これは、商品やサービスを提供していないのの、伝票上では売上として計上している手法です。いわゆる、売上の水増し、です。架空計上では、存在していない取引先や関連企業などを利用して、架空の売上を作りだす、粉飾決算の典型的な手口のひとつです。

手口②:売上の過大計上や架空計上

在庫の過大計上や架空計上も、粉飾決算の手口としてよく使われています。売上原価(経費)を減らすと、利益を実際よりも多く計上することができるため、在庫の数を故意的に操作します。

手口③:費用や経費を翌期以降の経費に計上

費用や経費を翌期以降の経費として計上すると、利益を増やすことができます。そのため、費用や経費を繰り延べることも粉飾決算の手口としてよく使われています。また、すでに支払ってしまった経費を仮払金や貸付金などに振替て計上することもあります。

 

粉飾決算を見破る方法

粉飾決算の兆候は貸借対処表に主に現れ、下記の4つの勘定科目に注目するとわかります。

売掛金

通常、その会社の回収サイトは決まっています。月商の何か月分あるのが適正なのかを見積もり、通常よりも異常に多い場合は要注意です。

在庫

在庫の調整も粉飾決算ではよく見られます。在庫を増やすと原価率や粗利率にも影響し、急に粗利率がよくなった場合は要注意です。

買掛金・未払金

売掛金のケースとは逆で、仕入や経費を少なくして、利益を出す行為ですので、通常よりも少なくなっている場合は要注意です。

仮払金・貸付金

実際に支払ってしまった経費を、無理やり資産計上して、経費を減らして、利益を多くみせる方法ですので、これらの勘定科目の内容や金額に要注意となります。

また、上記以外ではキャッシュフロー計算書も粉飾決算を見破るには非常に重要な指標となっています。

【粉飾決算の問題点】

粉飾決算は次のように各方面に多くの悪影響を及ぼします。

投資家の判断を誤らせる

最大の悪影響は投資家の判断を歪めることです。前述の通り、会社は株主のものです。ここでいう株主とは投資家です。投資家は証券会社等を通じ、会社の決算情報を見て投資の可否を判断します。また銀行も同じように決算書を使って財務分析を行い、融資審査を行います。粉飾決算の決算書は嘘の決算書です。そのような決算書では資金援助を実施した投資家や銀行が思わぬ損失を被る恐れがあります

会社の破綻を招く

粉飾決算で、実際よりも会社をよく見せていても、遅かれ早かれ会社は長続きしません。会社とは生き物です。会計年度は1年ですが、決算書に書かれている繰越利益は翌年に繰り越されます。後になればなるほど元に戻せなくなります。経営者も次第に感覚が麻痺して、健全な組織運営が不可能になります。

会社が今、どのようになっているのか、黒字なのか赤字なのか公正な帳面で常時確認し、戦略を立てなければ下降線を辿る一方です。内容を悪く見せる場合でも、会社利益を抑える=脱税とほぼ意味が一致します。確かに売上や利益を抑えると税金など一部コストが抑えられるかもしれません。

しかし脱税の疑いがあれば税務署などの調査が入ります。そうすると罰金などで多くの出費になる可能性があります。悪質な脱税は差し押さえの恐れもあります。税務署は税金滞納者の通帳を差し押さえる権限をもっています。会社の通帳や不動産を差し押さえられると事業に支障が発生しますし、取引銀行の知るところとなり、銀行取引にも迷惑がかかります。

取引先を裏切ることになる

掛取引といって、取引の都度ではなく一定期間毎に取りまとめて請求するという商慣行があります。実際は融資ではありませんが、決済まで相手先がお金を立て替えてくれるので、融資と同じ効果があるので「企業間信用」と言ったりします。当然お互いが金銭的に信頼できる間柄だからできることです。大手と取引している会社などは決算書を提出されている場合もあります。信用取引が継続できるかを決算書で判断されているのです。万一粉飾決算であえれば、取引先を始め、利害関係者全員に迷惑がかかることになります。



 

【粉飾決算は犯罪行為】

犯罪行為になることを理解

当然ですが、粉飾決算を行うことは犯罪行為にあたります。もし、粉飾決算を行ってしまうと、粉飾に関わった人、主に企業の上層部の人は罪を負うことになります。
中でも取締役には、適正な財務諸表を作成する責任があるため、これに違反して粉飾決算を行った場合には、会社法、民法などさまざまな法律によって罰せられます。
また、粉飾決算によって違法な配当を行って会社に損害を与えた場合には、会社に対して損害賠償責任を負いますし、虚偽の記載によって投資家などの第三者に損害を与えた場合には、その第三者に対しても損害賠償責任を負います。

詐欺行為に当たることも

粉飾した決算書で銀行から融資を受ければ、それは銀行に「利益が出ている」と嘘をついて融資を受けたことになるので、詐欺罪に当たります。
粉飾決算による融資詐欺等の場合、詐欺罪(刑法246条)に該当し、10年以下の懲役が科せられることもあります。

 

【まとめ】

粉飾決算は、利益を実際よりもよく見せるために故意的に操作することです。これは犯罪行為のひとつであり、もし見つかった場合は、社会的信用を失うだけでなく、刑事事件になることもあります。粉飾決算をしても会社の経営状況はよくなりませんので、会社の経営が悪化する前に、公認会計士や税理士に相談することが大切です。

 

【参考書籍】


粉飾決算 ―問われる監査と内部統制 (日本経済新聞出版)

 

以上が本日のテーマになります。ご覧頂き、ありがとうございました!

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