【会計】ビジネス教育 〈のれん〉について

どうもanjinです!

今日は会計テーマの『のれん』について解説したいと思います。

のれんと聞いても「のれんに腕押しの諺?」とか、「店の玄関に掛かっているもの?」とか思いがちです。

私も会計を学ぶまでは分からなかったですが、現在、経理業務を行う上では重要な用語と捉えています。

【のれんとは】

「のれん」と言えば、誰もが思い起こすのが店先にかかる布。それ自体に物質的な価値はありませんが、顧客への知名度や品質など、ブランド価値を示す象徴的な存在です。会計用語の「のれん」も、店先の「のれん」と同様の意味をもちます。一言で言えば、『のれん』とは、『買収によって生じるプレミアム』です。

これだけだと分かりにくいので、具体例を出して説明します。

A企業の資産価値が10億円だとします。この企業を10億円で売ってくれと頼んでも交渉は難しいです。資産価値と同額では相手企業も納得しないですし、同じく買いたいと思っている競合会社の存在も影響します。そのため、通常、買収成立価格は資産価値よりも高くなります。そこで12億円で買収が成立したとしましょう。この2億円の割増は、買い手企業にとって損なのでしょうか?そんなことはありません。この2億円の差額は、買収後に将来いずれ上回る価値超過収益力)が発生すると考えたから支払った金額なのです。

この超過収益力には、企業がこれまで培ってきたノウハウやブランドなど、目には見えない価値が含まれており、企業イメージを象徴するものです。上記の場合、2億円を「のれん」代と言います。

【のれん計上の流れ】

M&A等で事業買収が行われる場合、下記の流れにより『のれん』が計上されます。

  1. A社(買収側)がB社(売却側)買収を検討
  2. B社の企業価値を第三者機関が客観的に評価
  3. 買収価格が決定、B社ののれん金額が算出
  4. A社グループの傘下にB社が入る
  5. A社連結財務諸表にB社ののれん額が計上

M&Aの際に、買収される会社(上記だとB社)の企業価値を算定します。実際には、第三者機関を使って企業価値算定のための調査が行われます。これによって、客観的に目に見えない価値も含めた企業価値を測定することができるのです。

したがって、純資産の金額と、第三者機関による調査を経て測定された企業価値の金額との差額が、のれんとして初めて貸借対照表に計上されます。

【のれんの償却】

企業買収が完了すると、買収する側の貸借対照表には「のれん」という名前の無形固定資産が計上されます。

「のれん」は「のれん償却費」として、複数年に分割して費用化しなくてはなりません。(最長20年間で費用化)

のれん償却の考え方は、日本の会計基準と国際会計基準(IFRS)では異なります。日本基準では、「のれん」は買収後20年以内に均等に償却していきます。設備などの減価償却と同様の考え方で、「のれん」を買収コストの一つと捉えているのです。一方、国際基準(IFRS)は償却せず、毎期評価して価値がないと判断されれば一括で減損処理します。

いずれの基準でも、「のれん」代は収益力の低下に伴い減損処理をする必要があります。

【のれんの注意点】

「のれん」は、資産に計上した後に初めて価値がわかるものです。そのため、M&Aにおける「のれんの評価額が正当なのか」に疑問を持たなければなりません。

貸借対照表を見た時に、資産に占める「のれん」の割合が大きい場合は注意すべきです。「のれん」の価値が本当にあるかどうかは、貸借対照表だけでは判別できない場合があるからです。

「のれん」に見合った売上利益が確保できているかどうかを損益計算書やキャッシュフロー計算書で確認して、複合的な視点で企業評価をする必要があります。

 

以上が本日のテーマになります。ご覧頂き、ありがとうございました!

 

 

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