【管理会計】ビジネス教育 〈CVP分析〉

会計(財務会計/管理会計)

どうもanjinです!

今日は管理会計部分の『CVP分析』を解説します。管理会計の分析の中でも基礎的なものであり、ビジネス上でも多くの方が一般的に考えている手法だと思います。

【CVP分析とは】

CVP分析(損益分岐点分析)とは、『赤字と黒字が分岐するポイントすなわち利益=0になるときの売上を分析するための手法』です

※CVPとは、Cost-Volume-Profit Analysisの最初の3つの頭文字をとっています。

損益分岐点分析からは次のようなことがわかります。

  • 一定のコスト構造の中で、売上がどのように変わると利益が出るのか。
  • コスト構造が変わったときに、売上と費用がどのようなレベルにあれば利益が出るのか。

 

損益分岐点分析は、企業全体や事業部別、商品別の売上・費用の目標設定、新規事業の立ち上げや、新規商品投入の際に活用されます。

また、損益分岐点分析によって、企業全体のコスト構造を大まかなに把握することができます。それによって、その企業が持つ財務上のリスクを明らかにすることができます。

【損益分岐点について】

企業を経営するにあたり、常に利益を生み続けなければ経営が破綻してしまうのは当然のことです。しかし、実際に販売して得た金額「売上高」と、そこにかかった「費用」が同じ金額となり、損益がプラスマイナス0になる場合も少なからずあります。その状態を「損益分岐点」と呼んでいます。分かりやすく言えば「利益はないけれど、損もしていない」といった、企業にとっては評価し難い状況のことです。

単純に言ってしまえば、この「損益分岐点」を、売上高が上回れば「利益」となり逆にそれよりも少なければ「損失」、経営は赤字となります。つまり、損益分岐点の値を算出することで「最低どれだけ売れば利益が出るのか」が分かるということですね。

簡単な式で表すと「利益=売上高-費用」となります。
単純に「売り上げた金額」が、「販売する際にかかった費用」よりも多ければ「儲け」結果的に「費用」の方が嵩んでしまっていた場合は「損」ということです。

さて、ここに出てきた「費用」という言葉ですが、実は「損益分岐点」を計算するにあたって、まず経営に関係する全ての「費用」を「固定費」と「変動費」いずれかに分類する必要があります。

固定費」とは、生産量や販売量の範囲に関わらず、毎月絶対に必要となる一定の経費のことで、人件費や、事務所の賃借料、固定資産税、その他機材のリース代金などがこれにあたります。

一方の「変動費」とは、生産量や販売量などの増減に比例して動く経費のことを指しています。例えば、生産時の材料費や外注加工費、販売時の仕入れ原価や手数料などです。

前述の「費用」とは、この2つを合わせたもの、ということになりますね。

それらを踏まえて考えると、前述した「利益=売上高-費用」の式は「利益=売上高-(変動費+固定費)」と置き換えることができます。

 

【CVP分析の必要性】

CVP分析・損益分岐点分析は、企業会計を理解するために必要です。

また、企業会計を理解する理由は企業が存続するには利益は必要であり、営利追及が目的の一つである企業にとって「利益を理解しておかない事にはいつ”倒産の危機”が訪れるかもしれないから」と言っても過言ではないからです。

そのため、CVP分析・損益分岐点分析を理解する事で企業存続に必要な利益を確保する為に役立ち、企業会計を理解することに繋がるのです。

損益分岐点分析を理解することは、企業の財務体質の把握だけではなく、目標利益に対して必要な売上高の算定はもちろん将来の利益を計画する際に役立ちます。

 

【CVP分析のための変動費と固定費】

上記でも説明しましたが、事業に必要な経費は、売上にともない変化するかどうかにより「変動費」と「固定費」の二つに分けられます。この二つの違いと、分類方法について説明します。

変動費とは

変動費とは、売上(生産量・販売量)に比例して増減する経費のことを言います。「可変費」と呼ばれることもあります。

具体的には原材料費や仕入原価、販売手数料などが変動費にあたります。人件費は一般的には固定費となりますが、派遣社員や契約社員の給与、残業手当などは変動費とみることもできます。

固定費とは

一方、固定費は生産量や販売量の増減に関わらず一定にかかる経費のことを言います。「不変費」と呼ばれることもあります。

具体的には人件費や減価償却費が固定費にあたる主な経費です。また、事務所の賃借料や光熱費、PCやソフトのリース料、広告宣伝費などといった諸経費も固定費となります。人件費には、社員の給与や賞与だけではなく福利厚生費や通勤交通費、退職金なども含まれます。

変動費と固定費の分類方法は?

原価を変動費と固定費に分けることを「原価分解(固変分解)」と言い、損益分岐点分析をする際に必要となります。原価分解にはいくつかの方法がありますが、実務においては、各勘定科目ごとに変動費と固定費に分類する「勘定科目法」を用いるのが一般的です。ただし、勘定科目によっては変動費と固定費どちらも含まれる場合があり、どちらかに振り分けるのは難しいこともあります。そのような場合には、中小企業庁の「中小企業の原価指標」を参照して分類すると良いでしょう。

 

【CVP分析の計算方法】

CVP(損益分岐点)の計算方法は、以下の4ステップで完了します。

  1. 費用を固変分解する
  2. 限界利益を出す
  3. 限界利益率を出す
  4. 損益分岐点売上高を出す

それぞれどのように計算するのか、下記で説明していきます。

【ステップ1】費用を固定費と変動費に分ける

具体的な計算に入る前にまずは、費用を固定費と変動費に分けましょう。今後の計算は固定費と変動費を分けて行なうからです。かかる費用の種類によっては明確に固定費にも変動費にも明確に分けられない場合があります。

【ステップ2】限界利益を出す

次に限界利益を計算します。限界利益は売上高から変動費を指し引いたときの値が固定費と同じになるものです。売上高から変動費を引いたものが固定費と同じであるということは、売上高-変動費は固定費をギリギリ支払える利益であるといえます。

固定費=売上高-変動費となるとき、限界利益=売上高-変動費となります。

【ステップ3】限界利益率を出す

限界利益率とは、売上高に対する、限界利益の割合です。

限界利益率=限界利益÷売上高

【ステップ4】損益分岐点売上高を出す

最後に、損益分岐点売上高を出します。損益分岐点といっても、なにかしら具体的な数字であらわさなくてはいけませんよね。損益分岐点は損益分岐点売上高という金額の形で表記されます。

損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率

 

【CVP分析の計算例】

◎250円で販売する商品を50円で仕入れ、それを販売するための店舗を月10万円で借りることにしました。

  • 売上高:250円
  • 変動費:50円
  • 固定費:10万円

まずここから限界利益率を計算しましょう。
「限界利益率」は「1-(変動費÷売上高)」で求めることができます。

  • 限界利益率=1-(30÷150)
  • 限界利益率=1-0.2=0.8

この「限界利益率0.8」を

「損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率」

の数式に当てはめます。

損益分岐点売上高=賃借料10万円÷限界利益率0.8=125,000

つまり、125,000円が損益分岐点で、毎月それ以上売れば赤字にはならないということが分かりました。この流れを活用すれば、誰でも簡単に損益分岐点を算出することができますね。



【安全余裕額の計算】

安全余裕額は、損益分岐点売上高を実際の売上がどのくらい上回っているかを計算したものです。安全余裕額の分は売上が落ちても赤字にはなりません。

売上高-損益分岐点売上高=安全余裕額

また安全余裕額を出しておくと、安全余裕率を出せます。安全余裕率は売上高などが損益分岐点からどれだけ離れているか、上回っているかを比率で表したものです。安全余裕率=(売上高-損益分岐点売上高)÷売上高×100

安全余裕率も会社経営を評価するうえで重要な指標なので、こちらも覚えておきましょう。

 

【損益分岐点利益率の算出】

損益分岐点利益率は損益分岐点売上高を実際の売上高で算出するものです。計算式で表すと以下になります

損益分岐点利益率=損益分岐点売上高÷売上高×100

ここで出された%が低ければ低いほど、黒字であるということです。

損益分岐点利益率と安全余裕額を足した合計はかならず100%になります。

【CVP分析の読み方、活用法とは】

損益分岐点比率は低いほど利益を出しやすく、安全余裕率が高いほど経営が安定しやすいということです。

損益分岐点比率が高い、安全余裕率が低いは同じ意味ですが、この状況では売上が下がると赤字になる可能性があり、新型コロナウイルスなどの社会情勢も含めて景気変動に弱い状態ということが出来ます。

CVP分析・損益分岐点分析分析で、損益分岐点比率や安全余裕率を計算してみることで企業の経営の安定性を見ることが出来ます。

ただ、安定性を見ることだけでは損益分岐点分析を活用したとは言えません。

上述した通りに製造業、卸・小売業、建設業により変動費と固定費が違いますので、業種・業態・事業規模で損益分岐点比率、安全余裕率の適正な水準は様々です。しかし、いずれの業種・業態・事業規模であっても損益分岐点分析は低く、安全余裕率は高い方が良いでしょう。

また、固定費と変動費は一度決めた後は、その数字を常に保つという訳ではなく、変動させていくものです。

固定費の削減と変動比率の低下などを行い損益分岐点比率を低くできるように改善し、常に分析をし続けることが大切です。

 

【まとめ】

損益分岐点分析(CVP分析)の簡単な概要について解説しました。損益分岐点分析(CVP分析)の方法や活用方法をご理解いただけましたでしょうか。

今回紹介した損益分岐点分析(CVP分析)を行うことによって、自社で行っている事業のコスト構造を知り、今後どのようにして利益をあげていくべきかという判断材料を得ることができます。

ぜひ一度自社の財務状況を基に、損益分岐点分析(CVP分析)を行ってみてはいかがでしょうか。

【参考書籍】


管理会計〔第七版〕

 

以上が本日のテーマになります。ご覧頂き、ありがとうございました!

 

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